MOTO BURNINGRIDE LIKE THE WORLD ENDS TONIGHT.
← BACK TO ALL STORIES
2026-06-11新型・試乗

ホンダ2026年、CB1000とHornet系はどこへ向かうのか──見えてきた新型の輪郭

2026年のホンダ二輪ラインナップを、CB1000 Hornetを軸にエンジン構成・車体設計・規制対応の視点から読み解く。

ホンダ2026年、CB1000とHornet系はどこへ向かうのか──見えてきた新型の輪郭
Photo by Ducati · Source

2026年のホンダ──何が変わり、何が据え置かれるのか

2025年後半から欧州の型式認証データベースやアジア各国の認証機関にホンダの新しい型式が散見されるようになり、2026年モデルイヤーに向けた動きが徐々に輪郭を帯びてきた。とりわけ注目されるのが、2023年のEICMA(ミラノ国際モーターサイクルショー)で発表され、2024年から欧州を皮切りに展開されたCB1000 Hornetの次なる展開と、それに連なるHornet系プラットフォームの拡大である。

ホンダの大排気量ネイキッドは、長らくCB1000R(SC80)がその看板を担ってきた。しかし、Euro5+規制への対応や商品力の刷新を迫られるなかで、CB1000Rは2024年をもって欧州主要市場のカタログから姿を消した。その後継として登場したCB1000 Hornetは、CBR1000RR-R Fireblade(SC82)が搭載する999cc水冷並列4気筒をベースにデチューンしたユニットを積むという、明確な世代交代を示すモデルだった。メーカー公称で最高出力は約152PS。先代CB1000Rの145PS前後から数値を引き上げつつ、車体はスチールフレームにアルミスイングアームという構成で、乾燥重量は公称201kgとされる。Fireblade譲りの高回転型ユニットをストリート向けにリマップした、という骨格の理解で大筋は間違いない。

2026年に向けて焦点となるのは、このCB1000 Hornetの熟成モデルが出るのか、あるいはSP的な上位仕様が加わるのか、さらにはHornetの名を冠するミドルクラスの拡充があるのかという三つの問いである。順に見ていく。

Honda CB1000 Hornet naked motorcycle 2024 Photo: CB1000 SUPER FOUR 1993Model by H-S sc30, via Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)

CB1000 Hornetの「次」──電子制御の深化とサスペンションの選択肢

CB1000 Hornetの初年度モデルは、ショーワ製SFF-BP(セパレートファンクションフォーク・ビッグピストン)の倒立フロントフォークに、リアはプロリンクのショーワ製シングルショックという足回りを採用している。電子制御はIMU(慣性計測装置)を基盤としたトラクションコントロール、ウイリーコントロール、そしてライディングモードの切り替えが備わる。スロットルはライド・バイ・ワイヤだ。

2026年モデルで手が入る可能性が高いとされるのが、まさにこの電子制御と足回りの領域である。2024~2025年にかけて、欧州の競合車種──ヤマハMT-10 SP、カワサキZ H2 SE、BMW S 1000 Rなど──は軒並み半能動型(セミアクティブ)サスペンションを上位仕様に標準化してきた。ホンダもアフリカツインやNT1100でショーワ製EERA(Electronically Equipped Ride Adjustment)を展開しており、このシステムをCB1000 Hornetの上位仕様に移植する素地はすでにある。型式認証上の新規コードが確認されたとする欧州の複数メディアの報道は、こうしたSP仕様の追加を示唆するものとして受け止められている。

エンジン側では、Euro5+(2025年1月から新型車に適用)への適合はすでに初年度モデルで完了しているため、大幅な出力変更は考えにくい。ただし、ホンダが近年力を入れているのがクルーズコントロールの標準化と、TFTメーターのコネクティビティ機能強化だ。Honda RoadSyncアプリとの連携は初期型でも可能だが、2026年に向けてナビゲーション表示の精度向上やスマートフォン連携の操作体系が改良される可能性がある。これは新技術というより、ソフトウェアアップデート的な進化であり、ハードウェアの設計変更を伴わずに商品力を上げられる手法として、各メーカーが積極的に採用している。

技術的に注目しておきたいのは、CB1000 Hornetのスロットルバルブ制御のロジックである。Fireblade由来のエンジンは、本来13,000rpm超まで回る高回転型だが、ストリート向けにリマップする際にはスロットル開度に対する出力の立ち上がり特性を大きく変えるのが一般的だ。ホンダの場合、電子スロットルの制御マップを複数のモード(SPORT/STANDARD/RAIN等)で切り替えることで、同じハードウェアから異なるキャラクターを引き出している。この「同一エンジンの多面性をソフトウェアで管理する」思想は、2026年以降のホンダ大排気量戦略を読み解くうえで重要な補助線になる。

motorcycle electronic suspension Showa semi-active Photo by Olivie Zemanova on Unsplash

📺 関連映像: Honda CB1000 Hornet 2024 riding review — YouTube で検索

Hornet 750──ミドルクラスの橋頭保と並列2気筒の可能性

2023年に登場したHornet(CB750 Hornet、欧州名)は、ホンダのミドルクラス戦略を一変させたモデルだった。搭載するのは新設計の755cc水冷並列2気筒(OHC 8バルブ、270度クランク)。メーカー公称で最高出力91.4PS(67.5kW)/9,500rpm、最大トルク75Nm/7,250rpmとされる。Hornetの名がここで復活したことは、ホンダが「Hornet」をCBシリーズの一翼を担うサブブランドとして再定義したことを意味する。

このHornet 750のエンジンは、トランスアルプ XL750やNX500(デチューン版の471cc並列2気筒)とプラットフォームを共有する「新世代並列2気筒ファミリー」の中核ユニットである。ホンダが2020年代に入って並列2気筒に注力してきた背景には、製造コストの合理化と、Euro5+以降の排ガス規制・騒音規制に対する適合のしやすさがある。4気筒に比べて触媒の配置設計がシンプルになり、重量も抑えられる。270度クランクの不等間隔爆発は、V型2気筒に近いパルス感を生むとされ、かつてのCB-1やホーネット250のような均等爆発の並列とは異なるキャラクターを持つ。

2026年に向けて複数の海外メディアが指摘しているのは、この755ccユニットの上方展開、すなわち排気量拡大版の可能性だ。ヤマハがMT-09で888ccの3気筒を使い、トレーサー9やXSR900にも展開したように、ホンダが755ccの基本設計を拡大して800cc台のユニットを作る可能性は、設計上は十分にあり得る。ストロークの延長やボア拡大によって850cc前後のユニットが生まれれば、アフリカツインの1100ccとHornet 750の間を埋める「ミドルアドベンチャー」への転用も視野に入る。

ただし、これはあくまで構造的な可能性の話であり、2026年中に市販されるかどうかの確証はない。確実に言えるのは、Hornet 750の小規模改良──カラーリング変更、電子制御の微調整──は例年通り行われるだろうということ、そしてホンダが「Hornet」のブランドを今後も拡大方向で使っていく意思を示しているということだ。

Honda Hornet 750 CB750 parallel twin motorcycle Photo: 2023 Honda CB750 Hornet by Chanokchon, via Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)

電動化の影は薄いのか──ホンダのEV戦略と内燃機関の共存

ホンダの二輪電動化について触れないわけにはいかない。2023年に発表されたホンダの二輪電動化ロードマップでは、2025年までにグローバルで電動モデルを10機種以上投入するとされていた。実際にEM1 e:やCUV e:(いずれも原付一種相当のスクーター)が市場に出ており、2025年にはより大型の電動モーターサイクルのプロトタイプもEICMAなどで公開されている。

しかし、2026年時点でのホンダの大排気量セグメントは、依然として内燃機関が主軸である。これはホンダに限った話ではなく、二輪の電動化は四輪に比べてバッテリーの重量・体積がライディング性能に直結するという本質的な制約がある。600ccクラス以上のスポーツバイクに匹敵する航続距離と出力を、現行のバッテリー技術でライダーが許容する車体重量内に収めることは依然として難しい。ホンダが固体電池の研究開発を進めていることは公表されているが、二輪向けに量産される時期は明確にされていない。

結果として、2026年のホンダ大排気量ラインナップは、CB1000 Hornetを頂点とする内燃機関モデルの洗練が主題になる。電動化は50~125cc相当のコミューター領域で着実に進むが、趣味性の高い大排気量セグメントでは「規制に適合しながらいかに内燃機関の魅力を維持するか」がエンジニアリングの焦点であり続ける。この構図は、少なくとも2020年代後半を通じて大きくは変わらないだろう。

Honda electric motorcycle concept EV prototype Photo by Milan Csizmadia on Unsplash

日本市場の価格帯と入手性──円安と型式認定のタイムラグ

欧州で先行発表・発売されたモデルが日本に入ってくるまでには、型式認定の手続きや仕様の微調整(灯火器の規格適合、騒音規制値の確認など)を経るため、半年から1年のタイムラグが生じることは珍しくない。CB1000 Hornetも、欧州での発売から日本導入までに一定の期間を要した。

2026年モデルの日本価格を予測するのは難しいが、参考値として、2024年時点でのCB1000 Hornet欧州価格は約13,000~14,000ユーロ前後とされている。為替レートや日本仕様の装備差によって変動するが、日本での販売価格は170万円台から190万円台に収まるのが妥当な線だろう。SP仕様が追加されれば、BMW S 1000 RやドゥカティStreetfighter V4の価格帯(200万円超)との戦いになる。

Hornet 750については、日本市場ではすでに100万円前後で販売されており、大型免許取得後の最初の1台としても、あるいはリターンライダーの選択肢としても手が届きやすい価格帯に位置している。2026年モデルで大幅な価格改定がなければ、この「100万円前後で新車の並列2気筒ネイキッドが買える」という事実は引き続き大きな訴求力を持つ。

中古市場では、先代CB1000R(SC80)の相場が2025年時点で100万~140万円前後(走行距離や年式により変動)で推移しているとされ、CB1000 Hornetの登場によって緩やかに下落傾向にある。先代のネオレトロ的なデザインを好む層にとっては、むしろ今が狙い目ともいえる。

Honda motorcycle dealership Japan showroom Photo by Yunhao Luo on Unsplash

📺 関連映像: Honda 2026 motorcycle lineup preview CB Hornet — YouTube で検索

まとめ──ホンダの2026年は「既存の深化」と「ブランドの再編」の年になる

2026年のホンダ二輪ラインナップは、革命的な新型が一斉に出るというよりも、CB1000 HornetとHornet 750を軸にした既存プラットフォームの深化と、「Hornet」というブランドの位置づけの強化が主題になるだろう。電子制御サスペンションの導入によるSP仕様の追加、コネクティビティ機能の強化、そしてカラーリングや細部の改良──派手さはないが、乗り手にとっては実質的な進化である。

Hornetの名は、1990年代後半にホンダの250ccネイキッドとして日本で爆発的に売れた記憶を持つ。その名を2020年代に750ccと1000ccの二本柱で復活させたホンダの意図は、単なるノスタルジーではなく、「スポーツネイキッド=Hornet」というグローバルなブランド認知の構築にある。2026年はその戦略が定着するかどうかを測る年になる。

より深くホンダのCBシリーズの変遷を追いたい方には、『Honda CB Series FILE』(スタジオタッククリエイティブ刊)が初代CB72から現行モデルまでの系譜を網羅しており、設計思想の変遷を辿るのに適している。また、『ライダースクラブ』2025年8月号ではCB1000 Hornetの詳細なインプレッションが掲載されている。英語圏の読者には、ニューヨーク・グッゲンハイム美術館が刊行した『The Art of the Motorcycle』が、二輪車のデザイン史を俯瞰する視座を与えてくれる一冊として古典的な価値を持つ。

Honda CB motorcycle heritage lineup classic modern Photo by Kasy Sakamoto on Unsplash


本記事はメーカー公開資料・雑誌バックナンバー・公開報道を編集したものです。公道での違法改造・スピード超過・無保険走行を推奨するものではありません。車両の購入・カスタム・メンテナンスは、必ず正規ディーラーまたは認証整備工場にご相談ください。

SHARE

📚 この記事で紹介した書籍

PR / アフィリエイトリンク
  • 📖

    Honda CB Series FILE

    スタジオタッククリエイティブ / スタジオタッククリエイティブ

  • 📖

    ライダースクラブ 2025年8月号

    エイ出版社

  • 📖

    The Art of the Motorcycle

    Guggenheim Museum Publications

※ 当サイトは楽天アフィリエイトおよび Amazon アソシエイト・プログラムの参加者であり、適格な購入を通じて報酬を得ています。価格・在庫はリンク先で最新の情報をご確認ください。

Keep ReadingRELATED